月と太陽

幸ちゃんは何だか悲しげに見えたが、タケルを睨んでいるようにも見えた。

そして、クルリと背を向けると、幸ちゃんは立ち去ろうとしたのだ。

「幸ちゃん!」

わたしは、思わず幸ちゃんを呼び止めた。

幸ちゃんの足が止まり、ふとこちらを向く。

わたしはタケルを見上げた。

幸ちゃんと話がしたい。

そう伝えようとしたが、タケルはわたしの言いたいことがわかっているかのように、優しく微笑んで頷いた。

わたしはゆっくりと幸ちゃんに近付いて行った。

そして、目の前で立ち止まる。

何か話したい。

そうは思うのだけれど、何て話し掛けたらいいのかわからなかった。

わたしが呼び止めたのに…。

すると、わたしを何かが包み込んだ。

すぐにそれを理解することが出来なかったが、わたしは気付いた。

幸ちゃんに抱き締められたのだ。