月と太陽

その時が訪れてしまった。

わたしは目を閉じた。

緊張のあまり、心臓の鼓動が全身に伝わっているのがわかる。

タケルの気配が近付いてくるのを感じた。

まさかタケルの部屋に来て、こうなることなんて予想もしていなかったけれど、来たことに後悔はしていない。

頬に触れていたタケルの手が、わたしの首後ろに回った次の瞬間だった。

唇に何かが触れた。

柔らかく熱い、タケルの唇だとすぐにわかった。

わたしは息を止めた。

今、息なんてしたら、鼻息が荒くて恥ずかしい。

優しいソフトなキス。

タケルの唇が離れると、わたしはそっと目を開けた。

タケルの顔を見る間もなく、抱き締められる。

そして、タケルは耳元で囁いた。

「風邪がうつるな」

「わたしは、もう風邪ひいてるわ」

「そうだった」