月と太陽

「じゃあ、しずくまた明日ね!」

「じゃあな、しずくちゃ〜ん!」

麗佳と佐野くんは、先に教室をあとにした。

日下くんは両手をポケットにしまうと、「行こうか」と言って歩き出した。

わたしは彼の少し斜め後ろを歩いた。

玄関まで辿り着く間に色んな人にジロジロ見られた。

視線が気になって、前を向いて歩くことが出来なかった。

人から注目されるのは、やはり苦手だ。

「君、注目を浴びているね」

日下くんが言った。

「きっと、日下くんと歩いてるからよ」

「違うよ。確かに俺が女の子と歩いてるなんて珍しいかもしれないけど、みんなが見てるのは君がキレイだからさ」

日下くんの言葉に呆れて笑えた。

キレイだなんて、言われたことがない。

「それ、馬鹿にしてるの?わたしのこと。キレイだなんて言われたことないわ」

「馬鹿になんてしてないよ。本当のことを言っただけだ。そういえば、俺の名前知ってくれてたんだね」

そう話している間に玄関に辿り着いた。

茶色のローファーに履き替え、1番下の下駄箱に中履を入れた。