月と太陽

「しずく…、いつもに増して綺麗だ」

そう言って、タケルは微笑んだ。

わたしの後ろにいる亜利沙は「だから言ったでしょ?」と言って、フフッと笑う。

タケルはソファーから立ち上がると、わたしの目の前まで歩み寄って来た。

そして、わたしに向けて手を出して「さぁ、行こうか」と囁くように言った。

わたしはタケルの手を掴むと、コクリと頷いた。


「いってらっしゃーい!」

亜利沙に見送られ、手を繋ぎ、乗り慣れたバス停を目指す。

いつもは難なく繋いでいるタケルの左手だが、今日は少し違う。

これから街に出掛ける緊張と、いつもと違う姿でタケルと一緒に居る照れくささで、手から汗が噴き出てきた。

タケルはその手を強く握り締めると、「俺がいるから、大丈夫だ」と呟いた。