月と太陽

今日の授業は全て終わり、帰る時間となった。

瀬戸先生の「また明日」という言葉と共にみんなが帰る支度を始める。

わたしは席から立ち、スクールバッグを肩にかけた。

「しずくー!いよいよね!」

まるで自分のことのようにワクワクしながら麗佳が言う。

そんな麗佳に佐野くんは「お前とは、俺が一緒に帰ってやろう」と言った。

「あら、いつものことじゃない。わたしをチャリの後ろに乗せたいくせに、偉そうに言っちゃって!」

2人は幼稚園の時からの幼馴染らしい。

どうりで仲が良いわけだ。

すると、麗佳と佐野くんの視線が窓側に向けられた。

わたしもつられて同じ方を向くと、そこには日下くんの姿があった。

日下くんは、わたしに向かって歩いて来た。

「約束、忘れてないよね?」

彼はそう言って微笑んだ。

彼の微笑みは、罪だと思った。

NOと言わせない力を持っている。

彼が今まで笑顔を見せたことがない人だなんて、嘘だとさえ思えた。