月と太陽

その日のタケルとの登校は、いつもと違った。

手を繋いで歩いたのだ。

タケルの方から、さり気なく手を繋いできて、わたしはその手をそっと握り返した。

今までに感じたことのない幸せに、少し恐いとさえ思う。

男の人と手を繋ぐのが初めてなわたしは、緊張のあまり手汗が尋常ではなかったが、タケルは気にする素振りを見せなかった。

「タケル〜、しずく〜!」

地下鉄の駅から地上に出ると、後ろからわたしたちを呼ぶ声がした。

振り返ると、そこには階段を駆け上がって来る匡人と梨子の姿があった。

「おいおい、どうゆうことだ?お2人さん!手を繋いで登校だなんて、説明していただきましょうか〜」

からかうように匡人が言う。

その横で梨子も何か言いたそうに微笑んでいた。

「説明しなくてもわかるだろ?こうゆうことだ」

そう言って、タケルは繋いだ手を上に上げて見せた。

タケルの肩に腕を回し「お前もついに見つけたか!」と言う匡人は、何だか喜んでいるように見えた。

梨子も拍手をして、わたしに笑顔を向けてくれた。

「しずく、大事にしてもらえよ」

匡人の言葉にわたしは微笑んで頷いた。