月と太陽

夏休みが始まった。

しかし北海道の夏休みは短くて、あっという間だ。

わたしはほとんどを日下家で過ごし、たまに梨子と外へ出掛けた。


日下家での生活も、この部屋にも自分なりに慣れた気がする。

わたしは床に座り、ベッドに背をつけた。

そして、何度も折られた小さな紙切れを広げ眺める。

幸ちゃんから受け取った連絡先がそこには書かれている。

わたしはまだ一度も、幸ちゃんに連絡をしていなかった。

恐かったのだ。

幸ちゃんが恐いわけではないが、幸ちゃんが奴らと繋がっていると思うと恐かったのだ。

すると、壁からノックの音がした。

コンコン

わたしはこの音にとても敏感になっていた。

嫌な意味ではなく、その逆だ。

わたしは立ち上がると、音がした壁を2回ノックした。

返事はすぐに返ってきた。

コンコンコン

そっちへ言っていいかという意味だ。

わたしは一度ノックをして「Yes」と返事をした。