月と太陽

「何の話してんだ〜?」

そう話し掛けてきたのは、佐野くん。

自分の席から椅子を持ってくると、わたしのすぐそばに置いて座った。

「おっ!焼きそばパンじゃん!ゲットできたんだ!すげーな!」

「ちーがーうーのーよ!貰ったの」

わたしの代わりに麗佳が返事をした。

「あの、日下くんに」

麗佳の言葉に佐野くんは大きな声を出して驚いた。

「マジかよ!あの日下から貰ったって!?」

「しずく凄いでしょ?あの日下くんから焼きそばパンを貰ったのは、しずくが初よ!日下くんを笑顔にさせたのも、しずくが初めて!」

「えっ!日下が笑顔!?あいつ笑えるんだ!」

日下くんの話題で盛り上がる麗佳と佐野くん。

わたしは貴重な焼きそばパンを食べることに気が引けていた。

わたしなんかが食べていいのだろうか。

しかし、大事に食べないでとって置いてると思われるのも嫌なので、仕方なく食べることにした。

ラップを剥がすと、焼きそばのいい香りがした。