月と太陽

「タケルが初めて、わたしのことを呼んでくれたのは、小学4年生の時だったわ。母さんって…、凄く嬉しかった」

お母さんの目には、涙の膜が張っていた。

わたしはそんなお母さんの横顔を、静かに眺めた。

「5年もの間、愛を知らずに育ったタケルには、その知らずに育った分の愛情も注いであげたつもりよ。もちろん、亜利沙にも。だから、あの子たちには、人を愛することも知って欲しいって思ってたの」

人に愛されないと、愛し方がわからない。

だから、大人になった時に人を愛せるよう、小さい頃に親に愛される必要がある。

そう話すお母さんの言葉に納得している自分がいた。

「人の愛し方がわからない」

まさに、わたし自身もそうだと思ったからだ。