月と太陽

洗い物を始めてすぐのことだった。

タケルがソファーから立ち上がり、リビングをあとにした。

お母さんは、タケルを目で追うわたしに気付いたのか「きっとお風呂よ」と教えてくれた。

「それ、貰ったのね」

わたしの胸元に視線をやり、お母さんが言った。

わたしは照れ笑いを浮かべ、三日月に触れた。

「なんだか不思議な気持ちだわ。それをしずくちゃんがつけてるなんて」

微笑みながら、でもどこと無く寂しそうな表情を浮かべてお母さんが言う。

本当は手放したくなかったのではないか、そう感じた。

「わたしなんかが貰っちゃって、良かったんでしょうか…?」

わたしは、ずぶ濡れの丸いお皿をお母さんから受け取りながら言った。

お母さんは微笑みを浮かべたまま、チラッとわたしの方を見た。