月と太陽

演奏が2曲目に突入した。

スピッツの「チェリー」だ。

わたしはこの歌が好きだった。

「どう?受付サボって見に来た甲斐があるでしょ?」

梨子が胸を張って言った。

わたしは小さく頷いて「うん」と照れ笑いをした。

「タケル以外はみんな、うちのクラスの男子なのよ。本当はタケル、出る予定じゃなかったんだけどね、ギター弾く予定だった奴が実行委員の関係で出れなくなって、タケルに助っ人お願いしたってわけ」

タケルの様子から、周りの彼らとは親しそうではないと感じていたが、そういうことだったのか。

「タケル、去年も先輩に誘われて学祭のライブでギター弾いたのよ。ただでさえ女子人気高かったのに、それから更にモテちゃってね〜」

まるでわたしに嫉妬をさせたいかのように梨子が言う。

わたしは「そうなんだ…」と小さい声で呟くように言った。

そんなわたしの肩を抱き寄せる梨子。

まるで泣いている子どもを慰めるかのように、優しく肩を摩った。