月と太陽

売店は1階にあった。

人だかりがあり、そこに売店があるんだなと思った。

売店自体の姿は見えない。

「しずく、明日からはお弁当持って来た方がいいよ〜。いつもこんな感じで、残り物がある時はカロリーメイトくらいだから」

「わたし、カロリーメイト好きだよ」

わたしの返答に麗佳は呆れ気味に笑った。

人だかりの1番後ろに並んでみたが、買えそうな気配はない。

ここでは人気商品があるらしく「焼きそばパン」という言葉がよく耳に入って来た。

「戻ろうか、買うの無理そう」

わたしは麗佳にそう言った。

「えっ、でも何もないんでしょ?お腹空くよ?」

「大丈夫。そんなにお腹空いてないし」

そう話していると、視界に何かが入って来た。

わたしと麗佳の間に入って来たのは、パン。

焼きそばパンだ。

焼きそばパンを乗せる手を辿って、視線を上げると彼がいた。

わたしと同じ横列の、横顔がキレイな彼だった。

「あげるよ」

彼は更に焼きそばパンを差し出す。

わたしは驚きのあまり、どう反応することも出来なかった。

とても間抜けな顔をしていると思う。