コイツを運んで早1時間。
母さん帰って来たら腰抜かしそうだな。
「ん……」
おっ、起きるか。
コイツは腕を伸ばしながらゆっくりと起き上がった。
そして、目を開く。
「……よ、よぉ。」
俺は片手を上げてみた。
するとコイツは目を見開いて固まった。
「だ、誰!?」
こっちが聞きたいわ!!
お前の方が誰だよ!?
と、心の中でツッコむ。
「お前、どっから来たんだよ。俺ん家の前で倒れたから家の中に運んだんだよ。」
「倒れた……そっか……」
コイツはぶつくさ言いながら一人でうなずく。
「今から言うこと、秘密にできますか?」
真剣な眼差しを向けられる。
少し驚いたが、俺は興味があったので
「あぁ、分かった。」
と返事をしてしまった。
思えば、この時にコイツを追い出しとけば、あんな大変な事にはならなかったのかもな。