「はぁ・・・・・・・・」


ほうきにはかれた白い欠片が、カランカランと音を立てながらちりとりに乗っていくのを、僕はつっ立って見下ろしていた。

沙由が手を休めることなく、溜息をついた。


「だからお兄ちゃんは手伝いしなくってもいいって、何回も言ってるじゃん・・・・・・。気持ちだけでいいのよ」

「・・・・・・ごめん」

「ホント、不器用だよね」

「ごもっとも。生まれつきなんだから、仕方ないじゃん」

「はい、終わった」


そう言って沙由は立ち上がり、ゴミ箱へ向かう。

僕は恐る恐るというようにゆっくり足を踏み出した。


「沙由、掃除終わったらさ、涼音の所行こうよ」


ゴミ箱に破片を入れて、掃除に戻ろうとした沙由に、僕はそう声をかける。

沙由は真っ黒の髪をなびかせながら振り返った。

「うん」