その風習とは、さっきの儀式のことだ。



新月の夜0時、村人全員があの部屋に集まり、生贄を『ヒトクイ様』に捧げる儀式。

生贄になる人は、半月の日に、ほぼランダムに決められる。



だから、半月の日は、みんなの緊張がピークに達する。



生贄に選ばれる年齢は、老若男女関係ない。

さすがに赤ん坊は殺さないと思うけど、必ずとは限らないのだ。



だから、僕が殺される可能性だってある。

沙由も、幼馴染の龍紀も、涼音も、手毬も、みんな。



今日は助かったけど、順番が先延ばしになっただけと考えるのが妥当かもしれない。

そうじゃないと、運悪く選ばれてしまった時に、自分が自分でいられるか分からないから。