「伊吹さん、行こうか。」





放課後になり、みんなが帰った後に進路委員の仕事はあった。




「うん。」




「そんな緊張しなくてもいいよ。俺のことは新之助って呼んでよ。」




私が持っていた通学かばんをスッと持ち上げるとはにかむようにして笑った。




こういうところがモテるんだろうな。



私が抱いた感情はそれだけだった。




「無理です!」



「は?」




私が名前で呼べるのは一人しかいないから。