「どうかなされたんですか?怖い顔なさって。」 らしくないですよ、とカラッと笑う麻矢先生。 いや、大学時代は優妃と呼んでいたんだっけな。 「・・・何でもないですよ。」 「なら、いいんですけどね。紫雨先生の辛い顔見たくないんですよ。私でよかったらいつでも相談乗りますよ。」 やっぱり、いつまでも優しい人だった。 「もうちょっと、甘えてくださいよ。」 「ちょ、麻矢先生。」 彼女の手が俺のスーツの胸元に伸びる。 当時の甘酸っぱい感情が出てきそうで慌てて自分を自制させた。