「・・・紫雨。」 コンコンとドアをノックする音がして蜜の澄んだ声が聞こえた。 俺は学校の資料を一つにまとめると隅においてドアを開けに行った。 「どうぞ。」 「・・・うん。」 手には分厚い数学の教科書と【伊吹蜜】と綺麗な字で書かれたノートを持ってきていた。 「どこが分からないんです?」 「えっと・・・。」 勉強するために俺の部屋に来いって言った。 でも、理由はそれだけじゃなかったんだ。