蜜side



「蜜ー。」



数か月前から私の家に居候している奴が猫なで声で呼んでくる。



早坂紫雨(hayasaka shigure)という男。




「うるさい、紫雨。黙って勉強でもして。」



「それは、ひどい言いようですね。あの時の恩恵を忘れたのですか?」




「ぐっ・・・」




そう、私が紫雨を完全に憎み切れない理由。





それは、数か月前の出来事だった。