心を見透かされた言葉に泣きたくなった。
だから微笑む。
泣きたくなればなるほど、僕の表情は天の邪鬼。
これは長年培ってきた仮面。
過去の荒んだ恋愛経験から、自分を守るために身につけてしまったもの。
「また笑うんですか?」
「自分じゃどうしようもできない。」
「そうですか。矢坂さん、」
不意に暖かな温もりに包まれた。
背中に回された腕に力がこもる。
「もう終わりにしませんか?一晩だけの嘘に。」
「……………」
「アナタが微笑む、その裏側も守り抜くから――」
さらに強くなった力に息苦しくなった。
「嘘じゃなく本当の愛を、俺がアナタに教えてあげます。だから、」
少し体が離れて、瞳をのぞかれる。
「俺と付き合ってくれませんか?」
「…………」
こんなにも真っ直ぐな想いをぶつけられたことはない。
「僕なんかでいいのか?」
「アナタがいいんです。」
君を、信じても良いだろうか?
「矢坂さん、俺と付き合ってください。」
もう一度近付いた体温。
僕はおずおずと背に腕を回した。
「………はい。」
少しずつでも君のことを、信じてみよう。
――end.


