Spring Love

【優衣】

キーンコーンカーンコーン♪

やばいやばいやばい…。
入学式早々寝坊するなんて!!
あぁーっせめて寝癖だけでもなおしてくればよかったぁ。
食パンを口にはさんで、せっかくの、新しい制服がもうしわくちゃ!
おそらくがさつなのは一生なおらないだろう。

あたしがこれから3年間通うこの星空学園は、夜になると綺麗な星空を見ることができるという有名な高校。

正門をぬけると芝生が広がっていて、その真ん中に大きな桜の木がある。


「わぁ…」
今年初めて見る桜になんだか感動。

「はやくいかなきゃ遅刻すんじゃない?」

え?誰?腕時計を見るとあと3分?!
あたしなにぼーっとしてんだろう!
「あっありがとう!」


綺麗な顔…。ぱっちりとした二重に、高い鼻、そして黒髪のサラサラヘアー。

「今俺に見とれてただろ?」
そんなわけないじゃん!
いきなりなんなのよ、この人。
あたしは顔だけで好きだとか言う人間が嫌い。
だからあたしも顔だけでなんて人を好きにならない。
大事なのは中身だっつーの!

「ばっかじゃないの」
そう呟いて、あたしは教室へと急いだ。