キミに、恋に落ちる。


 だから私も安心してた。

 棗さんは、まだ誰のものにもならない、って。

 でも。

 でもね。

 最近、思うようになったの。




「私だってもう大人の仲間入りだよ?」


 棗さんが作ってくれたクロックムッシュを頬張りながらそう言うと、棗さんは呆れたように。


「永遠はまだまだ子供だろ」


 そう言って、私の頬へと手を伸ばす。


「大人がほっぺたにパン屑つけるか?」

「! わ、わざとじゃないもんっ!」


 棗さんは私の頬からパン屑を取ると、さも当たり前のようにぽいっとその屑を自分の口へと放り込む。