幼い私でも、お母さんがいなくなった事くらいすぐに理解出来た。 しかしその頃にはすでに父親とはまったく繋がりがなかったし、お母さんの親族も、正直誰がいるのか解らなかった。 幼い私は、ただひたすらに。 もう二度と目を開けないお母さんを前に泣くことしか出来なくて。 わんわんと泣きじゃくっている私を、ぎゅう、と抱きしめてくれたのが 棗さんだった。