『…お…お母さん…』



母の拳がクラクションに当たり…



ブーッ―――――



とけたたましく鳴る。



街行く人が振り返る…



『お母さん!!』



私は母の手を掴んだ…



『…違っ…違うの…「俺が…」



今まで黙っていた育が私の言葉を遮る…



「俺が仁美の相談を持ちかけたんだ…」



『……』



母は育を見つめる…



『信号…青だよ…』



後ろの車が控え目にクラクションを鳴らす…



母は涙を拭きながら再び運転を始めた。