しばらくすると…



育の手がパッと離れた。



その瞬間に力強く引っ張られていた私の手が力なく私の太ももに当たった…



「…うっす…」



育の肩ごしに仁美が見えた…



『あっ…仁美…おはよ』



『…おはよ…』



『ハハハ…もう夕方だからおはよって言うのもおかしいね…』



私は気まずい雰囲気になっていたのを必死で誤魔化した…



今の見られた…?



手繋いでいるところ…



時計を見ると約束の時間より10分程早かった。



「仁美…早いな」



育も誤魔化しているのか…仁美に話し掛ける。



『うん…早く着いちゃた…ハハハ…』



仁美もぎこちない笑い…



「和也はまだか…」



仁美と私は辺りを見回す。


『『まだ見たい…』』



「…んだな…」



話しが続かない。



『由奈…浴衣かわいいね』


仁美は浴衣ではなく真っ白のワンピースを来ていた。


『あ…ありがとう…仁美のそのワンピース初めて見た…可愛いよ』



この日の為に買ったのかな?



真新しいワンピースが風になびいていた。