「……何が、あったの……?」


一瞬で真面目な顔になって、聞き返す将人。



……と、同時に、さっきよりも数倍大きな音が聞こえてきた。


「な、何の音……!?」


「暴力が!! すぐそこで、誰かが暴力を振るわれてるの!!

 私は逃げようって言ったんだけど……倫生が。
 倫生が助けに行っちゃって……!

 どうしよう、将人。どうすれば倫生を助けられる……!?」


全てをいっぺんに話す、まとまっていない私の話を、頷きながら冷静に聞いてくれた将人。



「……珠月。お前今間違いが一個あったよな?」


「……え……?」


見ればまた、将人は気だるそうに笑っている。



「助けるのは、倫生だけじゃない。
 その暴力振るわれてる奴もだ。

 んで、もしかしたら、暴力振るってた奴らもかもしれない……けど?」