七瀬珠月、高校二年生。
只今、彼氏に振られました。
……なぁんて、ふざける余裕はあるのにね。
「……なん、で……?」
やっと出た一言。
声が出たら、体と心の妙なズレがなくなって、理解したら、視界が少し滲んだ。
「お前と居ても退屈だから。それに、やっぱ俺恋愛とかいうガラじゃないし?」
はは、と笑いながらそう言って、振り返りもせずに去っていってしまう彼、本林紅映-kureha-。
その姿を虚しく見つめてみる。
「くれ……は」
慌てて呼んでみても、もうとっくに声など届かないほど遠い。
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