声は、すぐ近くから聞こえている。


もしかしたら、そこの角を曲がったところで起きているのかもしれない。


そこなら人目につかないし、いじめには絶好の場所かも。



きっと同時にそれを思った倫生が、その方向に向かって走り出した。


「待って!!」


ダメだよ、そんな。



「こ、こっち!! 逃げようよ!! 絡まれたらどうすんの!?」


慌てて全力で反対の道へと引っ張る。


職員室のある方向だ。



いやだそんな、怖いよ。


先生とか、人を呼んだほうがいい。


それに、下手に火に油を注ぐような真似はしないほうがいい。