そう言うと、真面目な顔になって、山神くんが立ち上がった。
「夢がない人なんて、いないよ。
まだ、見つけられていないだけ」
自然と見上げる形になる。
「迷える七瀬ちゃんに、一つお願い事していい?」
さっきとは打って変わってふざけて言う山神くんに、お願い事とは何か問うために、斜めに頷く。
「七瀬さんが自分の誇れる夢を見つけるまでの間。俺らの夢、ちょっと手伝ってくんない?」
「え……?」
手伝う、って……。
「バンドの華になってよ。
紅一点、ボーカル。どう?」
まるで打ち合わせたように受け継ぐ鈴谷くん。
「ボーカル……!?」


