「……芽奈」 『先生』と呼ばれた女性が声をかける。 大槻さんの肩が大きく揺れる。 自信満々に見えた目が、とても頼りなくさまよっている。 あたしは彼らに手招きされて、隅に行く。 何で、と訊ねようとしたら、人差し指を口元に当てて制された。 成り行きを見届けよう、と。 「……先生、違います。 あたし、本当にピアノ好きだし、賞状貰ったときは本当に嬉しかったし……!」 「……いいの、芽奈。 あれがあなたの気持ちな訳でしょう?」 寂しげに笑って、焼却炉を指さす。