鍵を返してきてくれると言う深樹斗と音楽室で別れて、私は教室に向かう。


さっき気づいた忘れ物。


明日提出の美術の課題、それに使う画材をロッカーに置いてきたのだ。



時間には余裕があるのに、小走りで教室に向かう。


静かな廊下には、ドアを開ける音がよく響く。


窓が閉め切られていたので、蒸し暑い空気の塊が流れ出てくる。


ロッカーには、ちゃんと画材があった。


ほっとため息をついて、風の通る廊下に出る。


そしてそのまま校門へ向かう。



実は教室から直接校門に行くことは珍しい。


毎日部活かバンドがあるから。