二人だけになってしまった第三音楽室。 「深樹斗……理由知ってるの?」 静けさが嫌で、少し大きな声で訊ねる。 「……多分だけど。 今日じゃなかったっけ? 『親友』の命日」 「あ……」 『来週の火曜日』は、今日だ。 『もう六時』というのは、亡くなったのがこの位の時刻なのだろう。 「……毎年、会いに行ってるみたいだね。 あの様子からすると」 「……そうだね」 先週まで知らなかった人の、彼らの中に占めるスペースがあまりに大きすぎて、ちょっと言葉を失ってしまった。