「あ、倫生……。 もう、六時だ」 私が同意を示すと同時に、将人が時計を見ながら呟いた。 そして、親友から貰ったというギターを丁寧に仕舞う。 ただ一つだけ新品なコードが、嫌に綺麗だ。 「ん、本当だ。遅れたらマズイな。 ごめん二人とも、俺ら今日これで帰るわ。 また今度な」 「え、帰っちゃうの?」 せっかく全員揃ったのに。 「……珠月」 そう声を出したら、深樹斗が、理由でも分かっているかのように私を止めた。 「……悪いな。じゃあ」 そう言って、二人は静かにここを出て行った。