「そうそう、七瀬さんだ。
 君、2年3組だよね? 俺、分かる?」


嬉しそうに笑い、クラスをずばりと言い当てられたが、彼のことは全く分からない。


素直に首を横に振る。



「だよね。
 俺、隣の4組の山神……って、名前はもう言ったか。
 たまに数学とか合同になる……らしいけど、俺授業出てないから顔知らなくて当たり前か」


明るく笑う山神くん。


たまに授業が合同になることはあるけど、確かに、顔は知らない。



「俺のことは? ……分かる?
 鈴谷将人、って言うんだけど」


今度話しかけてきたのは、少し見覚えのあるような人。


歌っている時とは全然雰囲気が違うから、見覚えあることに気づかなかった。



「鈴谷、くん、はちょっと見覚えある気がします」


何て呼べばいいのか分からなくて、少し戸惑う。