「将人。タオルそこのベンチに敷いて」
1分もしないで着いた公園に、もう一人の歌っていた人がいた。
彼は少し微笑みながら、本当に大切そうにギターの手入れをしていた。
「ん」
将人、と呼ばれた彼は、何も不思議に思うことなく、ギターをそっとケースにしまって、汚れたベンチに真っ白なタオルを敷いた。
促され、そこに座る。
正面に、彼らがしゃがむ。
彼らが……さっき歌っていたと思うと、とても不思議な気持ちになる。
「俺、山神倫生-michiru-。で、こいつは……って、あれ?
君、もしかして、えー……っと……な、な……」
自分の名前を言ってくれたが、突如私の顔を覗き込んで、考え出す彼、山神くん。
「七瀬、珠月です……」
何故か彼は私を知っているようだったので、名前を言ってみる。


