「……あーもー、分かったわよ!とりあえず候補の中に入れておくわ、それでいいでしょ!」
眉間にシワを寄せた優香が、渋々といった様子で口を開いた。
その途端、机の上でぐったりしていた悟くんが復活し、卓斗くんとハイタッチをする。
「チッ……謀られたか」
「仕方ないわよ。亜由美も困ってたしねー」
優香はそう言うと、苦々しく呟く洋平の背を優しく叩きながら私の方へ悪戯っぽく笑いかける。
そこで、やっと私は優香が譲歩した理由に気付いた。
(優香、私が困ってたから助け舟を出してくれたんだ……)
優香は、私が卓斗へ向ける気持ちを知っている。
その上で、返答に困っている私を気遣ってくれたんだ。
「……ありがとう」
私は、優香にコッソリ耳打ちをした。
と、その時
「よぅし!じゃあテーマも決まった事だし、パソコン室に行って『祟り』について調べてみようぜ!」
満面の笑顔を浮かべた悟くんが、そう言って立ち上がった。
「え、ちょ、ちょっと!まだ候補に上げると言っただけで、テーマにするとは……」
驚いた優香が声を上げるけれど、悟くんは気にせず教室から出ていってしまう。
そのあまりにも嬉しそうな様子に一瞬面食らった4人は、すぐに我に返ってその後を追うのだった……。

