「もうっ……いや……」

あの二人は………やっぱり……

「あの方のこと……諦めなきゃっ…」

元々、諦めなければならない恋だった。
……それでも好きだった。
声を聞くだけで、姿をみるだけで、凄く幸せだった。
少しずつ彼のことを知っていくたびに嬉しくなった。
それで十分幸せなのに…
あの人が幸せになってくれれば私だって嬉しいはずなのに…
どうして好きになってしまったのだろうか?好きにならなければよかった……

切った長い髪をバサッとごみ箱に捨てた。愛裕の髪の毛は肩より上になっていた。

「もう……終わりにしなきゃ……今までのこの気持ちを…全て。……好きでした。琥珀様……」

自分一人しかいない部屋でそう呟く愛裕。
そして、そのままベッドに倒れ込み、いつの間にか眠りに堕ちていた。