愛裕は寝間着に着替えてぼんやりと外を見ていた。

雲一つない、星の綺麗な空。

輝く月の存在はない。

「新月・・・か・・・」

“新月と満月を含む前後二日間”この期間がさ愛裕には不思議で仕方がなかった。
同時に、琥珀のことが気になった。
この期間、琥珀の姿を見ることはほとんどないのだ。
新月の時は学校に通っているようだが、表の門は使わない。
食事なども全て、当主の執事である律が行っている。
律は古くから李家に仕え、当主とも近い執事だった。 そのため、李家の事は把握している。


バタン


どのくらいの時間がたったのか分からなくなった頃、愛裕は物音で我に返った。

――何の、音・・・?
まさか、泥棒ってことはないよね・・・。

おそるおそるライトを持ち、静かに扉を開けて廊下に出た。

物音一つ聞こえない。

とととりあえずっ、ちょっと見て、異常
がないか確かめてっ、早く寝ようっ。

そう心に思って、 ぎゅっと拳を握り、一歩踏み出した。
ゆっくり、ゆっくり、小さな明かりが照らし出す辺りを見ながら。