「琥珀様、どうかいたしましたか?」

「ん?なにがだ?どうかしたのか?」

「いえ、急に難しい顔で考え込まれてし まったので。何かあったのかと」

「な、なんでもない!ちょっと明日の用 事のことを考えていただけだ。あぁ、
愛裕、今日は無理を言って悪かったな。 もう休んでくれ」

「はい。琥珀様。では失礼します」

琥珀が最後まで平静さを装えたのは賞賛 に値する。 それほどに琥珀の心は乱れきっていた。

(誰だ・・・いったい誰と会っていたん だ!どんな男なんだ!愛裕!)

琥珀は愛裕が出て行ったドアにいつま での厳しい視線を浴びせ続けた。