「おぉ、よく分かったな」

「はぁ…出来たら人違いであって欲しかったけどね」





真人(マサト)は、中学の時の俺の友達だった。人生最期の3年間で、一番仲の良かった、いわゆる親友だった。






「こんなに早くこっちに来るなんて」

「高速道路の事故。どうしようもなかった。せっかくお前に助けてもらったのに、本当にすまない」





頭を下げるマサトの肩を叩く。





「お前が死んだってことは、その…」

「…すまん。詩織(シオリ)も一緒だった」







「かぁ~。死に損だよ、死に損!」

「すまん!本当にすまん!!」

「うぉっ…じ、冗談だよ。声でかいな、相変わらず」






真人とは親友であり、恋敵でもあった。
ふたりとも、詩織のコトが好きだった。





そして、俺はトラックに轢かれそうになったふたりを突き飛ばして、ユーレイになった。





「詩織も呼ぼうか?隣の市場にいるけど」

「あー、いいや。なんかすげぇ謝られそうで面倒だし」

「その、ホントにすまん」

「いいって。真人のせいじゃないことくらい分かるっつの」






そして、真人と詩織はふたり一緒に別の事故でこっちに来た。






なんて運の悪い夫婦だ。