朝。




「いってきまぁす」





大きく叫んで、ドアを開ける。






「暑ぅー…!」






ギラギラ照りつける太陽の下、駆け出す。







「よう」

「あれ、桜庭くん?」






駆け出してすぐ、立ち止まる。






「今日部活?」

「そう。えっ、電話した?」




「したよ、3回くらい。レシピ渡しに行くって言ったじゃねーか」

「あちゃー、ごめんね。全く気付かなかった。上がってく?」





「いいよ、部活だろ?渡したら帰る」

「ま、彼女さんに悪いしね」





「それは関係ない。ホラ」

「ありがと」





仏頂面の桜庭くんにレシピを手渡される。
あっ、そうだ。






「これあげる」

「なに、ビニル袋?」





手渡して、歩き出す。





「あんパン?なに、お前あんパン好きだったっけ」

「好きになったの!じゃあね」






暑い陽射しと、桜庭くんの怪訝な眼差しを背にして、再び駆け出す。






雫、今日もあたしは元気です。






元気に、楽しく、生きてます。





fin.