サンタクロースをいつまで信じていたか、と聞かれて、あたしはいつもこう思う。





どうでもいい、と。





だって、いつまで信じていたか、いつから信じなくなったかっていうのは、つまるところ「今は信じていない」と言うことであって。





「サンタはいる」「サンタなんていない」と、激論を交わしていた小学生の頃ならまだしも、高校生にもなって「サンタは実はお父さんが変装している」とか「サンタは信じている人の所にしか来ない」とか、そんな話を大真面目に議論する人間は、少なくともこの日本には皆無だと思う。





何が言いたいかというと、事実、あたしたちは誰もサンタクロースを信じていない。






ところで。






じゃあ幽霊はどうなんだと言えば、驚くなかれ結構多くの子が信じているわけで。






あたしたちの通う学校にも、御多分に漏れず「桜塚高校七不思議」なんていう実にいかがわしい怪談がまことしやかに語られていたりする。





と、ここで、あたしはふと疑問に思ったワケ。






サンタクロースは信じないのに、幽霊を信じるなんて、おかしくない?



と。





だって、そうでしょ。サンタクロースといえば、12月24日の真夜中、空飛ぶトナカイが引っ張る空飛ぶソリに乗った、中肉中背のフィンランド人のおっさんで、縁もゆかりもない子供たちのタメに住居に不法侵入して、どこからか調達してきたプレゼントを枕元に置いて去っていく、超絶不審者。





空飛ぶソリに乗ってる時点で、化物確定だ。





と、いうことは、だ。





乱暴に言ってしまえば、幽霊を信じる人間は、サンタクロースを信じないとおかしい、という理屈になる。






「唯、お前アタマ固いのなぁ」


「だってそうじゃん。サンタクロースだって幽霊みたいなもんじゃん」




「サンタクロースは幽霊じゃなくて妖精って説もあるだろ」

「幽霊は信じるのに妖精は信じないってなんなの。幽霊を信じるなら妖精も妖怪も、悪魔も、UMAもUFOも信じないと辻褄あわない」





まァ、あたしが何を言っても、信じるヒトは信じるし、信じないヒトは信じない。





あたしが「おかしい」と思うだけで。