遥との日々


さっきの中央奥に祀られているのとは

また違ったように祀られている感じだ。




掛け軸には水墨で

女性が描かれていた。




気がつくと俺はその掛け軸の前に

立っていた。



「その絵がどうかしたのですか。」

神主さんが尋ねる。



「綺麗だなと思って」



自然と言葉が出た。

自分はこんなことをいうやつ

だったろうかと思ったが



特に気にはしなかった。





「私もそう思います。」



神主さんが静かに言った。





俺はその掛け軸から

目が離せないでいた。






何かが胸にこみ上げて

くるような気がした。




そして




「助けてあげられなくてごめん。」



口が勝手に動いた。



自分に驚き、

そのまま動けなかった。







ふいに神社の周りの木々が騒めく。







そのざわめきに気づき我に返る。


神主さんが驚いた様子で

こちらを見ていた。






それも仕方ないと思う、

なにを絵に向かって

言ってるんだ俺は…。