遥との日々

「樹はさ、彼女とかいんの?」


教室に向かう途中で綾平が俺に聞く。


なんだよ、今日は彼女の話題が多いな…

朝の環と言え、高校生になると彼女の

ことばっか気にすんのか。


「居ない。」


「え?樹居ないの!?」


なぜそんな驚く。

居ないとおかしいのかよ。


「樹なら彼女の一人か二人居ると

思ったんだけどなー。」


「ふーん。」


昔は彼女を作ったりしたことがあった。

でももうそういうのには疲れた。



「綾平は居んの?」


「彼女?居るよ!」


「へー。」


「うん、違う高校に

なっちまったけどな。」


「そうか。」



綾平なら一緒の高校に

行きたそうなのに意外だな。


なんて思っていると綾平がポンっと
手を叩いた。


「俺、樹が彼女出来るように

応援するわ!」


「は?いいよ、居らないし。」


いきなりなにを言い出すかと思えば…。


「えー!いいじゃん彼女!

青春しようぜ青春!」


「別にリア充することが

青春とは限らないんだよ。」


「そうか?恋愛したほうが

より一層いい青春が出来ると

思うんだけど。」


「居なくても十分に楽しめる。」


「ふーん、それでいいならいいけど。」


なんとか引いてくれた。

面倒くさいんだ。疲れるし。



だから恋愛なんて要らない。