バスはいつも早めに乗るから
乗っている人は少ない。
今日も一人で窓際に座って外を眺める。
今日は晴れだ。
入学式は午前で終わる。
実は終わったら遥と神社で会う約束だ。
特に何をするってわけじゃないけど。
しかし、朝早いと眠い。
虚ろ目になりながらも外を眺め続けた。
「次は尚乃です。尚乃高校へ行く方は
ここでお降りください。」
バスのアナウンスで目が覚めた。
いつの間にか寝ていたようだ。
バス停に着いたので
降りるために前へ行く。
歩いて向かっている途中腕を掴まれた。
振り向くとそこには
見知らぬ少女が居た。
同い年くらいか。
少女は口を開けたまま固まっている。
「あの、何か?」
俺が問うと少女は慌てて
「あ、いえ。あの、
どこかでお会いしたことは?」
「え?」
茶色の髪を上で丸めてまとめて
薄茶色のブレザーを着た少女。
誰だ?
覚えがない…。
きっと人間違えに違いない。
「すみません、ないと思います。」
「そう…、ですか。ごめんなさい急に。」
「いえ、俺行くので。」
そうして急いでバスを降りた。
