泣かれてしまった。


どうすればいいだろう…。


少女は泣き止まない。


「ぜっ…。」


言いかけた瞬間、

男に再び手首を引っ張られ

無理やり歩かされる。


少女は連れて行かれる

俺を見てさらに泣き出した。



ダメだ、ちょっと待ってくれ。


せめて少女が泣き止むまで


待ってくれよ、これじゃあんまりだ。



笑顔の君で居てほしいのに。




泣かせたまま俺は旅立つのか。





涙を止めてくれ…



「遥!絶対に帰ってくるから

どうか…どうか。遥、笑っておくれ。」



意識が現実に戻ろうとしている。


少女の笑った顔が少し見えた気がした。