「ふうん、なに?悪用でもするの?」


俺はそんな遥に気にせず言った。


勢いよく顔をあげ遥は言い放つ。




「そんなことしないもん!!!」




遥は少し顔が赤くなりながら

涙目でこちらを睨んだ。



ちょっとからかい過ぎたか…



「嘘だよ、ごめんごめん。

それでどうしたいの?」



遥はまた表情が明るくなって



「えっと、また階段でお話しよう!」



そう言って俺の制服の袖を

掴んで引っ張る。


引っ張られながら階段まで歩いて

遥が先に座ってまだ掴んでいた袖を

ぐいぐいしながら自分の隣を指差した。


制服伸びるんですけど…。


そんなこと思いながら

俺は言われるがまま隣に座る。



遥はなんだか嬉しそうだ。


「何から質問しよう、迷う!」


「決めてなかったのかよ…」


うーんと考えてそれから遥は

何か思いついたように

手のひらを合わせた。


「じゃあ樹くんの初恋はいつ?」


「え?いきなりそれは唐突過ぎだろ!

世の中には順序というものが

あってだな…。」


「聞いちゃいけなかった?」


「そ、そんなことはないけど…。」


女子ってこういう話好きだよなあ…。

というかそもそも普通男子に

聞くような話じゃない気が…。