降りて遥を見たら

驚いたような顔をしていた。



「こんなところでなにしてんの?」



質問すると遥は焦ったような顔になり



「な…なんにもないよ…。」



そう言って顔を伏せた。



変な奴。


しばらく沈黙が続き

固く閉じた遥の口が開いた。




「ねえ、樹くん。

私、もっと樹くんのこと知りたいな。」


顔を伏せたまま遥は

俺の制服の袖を掴んで言った。




「だから少しお話したいな。」





遥は顔をあげてまっすぐ俺を見た。



「だめ、ですか?」



「いいけど、なんで?」


「それは…。」


「それは?」





「ひ…ひみ、つ…。」





また少し顔を伏せたので

よく見えなかったが

心無しか遥の顔が少し赤く見えた。