「おーい、起きろー」
高めの声だった。
俺はうつ伏せたまま声のした方へ向く。
笑顔で俺を見ながら男子生徒は
移動して俺の前の席へ座る。
俺もそれに合わせて上体を起こした。
「なに?」
「いやあ、どんな人なのかなと思って」
「ふうん」
「俺、槙田綾平(マキタ リョウヘイ)。
よろしく。」
「辻原樹。こちらこそよろしく。」
綾平はじーっと俺を見て
羨ましそうな顔をした。
「樹はいいよな、男っぽくて
イケメンで。」
「?」
「いや俺女顏してるからさー。」
ああ、なるほど。確かにそうだ。
「そりゃどうも。
綾平の女顔もイケメンの
部類なんじゃないのか?」
「そうかもしんないけどさー!
女子ってば可愛いとしか
言ってくれねーし。」
綾平は腕を組んで頬を膨らます。
「へえ、まあ男としては
褒め言葉にはならないよな。」
うんうん。と綾平は腕を組んで
頬を膨らましたままうなづいた。
