そんなことを考えている間にも

彼女が今にも飛びついて

きそうだったので


空いてる方の片手で彼女の頭を

抑えながら


「そんなに嬉しいのか、緋ノ宮」


「うん!」

彼女は俺に頭を抑えられながら

なおも笑顔で答える。


「遥って呼んでね!」


「遥」


「はい!」


「俺、そろそろ行くから」


「え?」


「それじゃ」

と言ってその場から立ち上がる。

その瞬間後ろから



ベチンッ



という音が聞こえた。


びっくりして振り返ると

遥が俺の座っていたところに

前のめりに倒れていた。


見ていると遥はむくっと起き上がり

ぶつけたのか額を抑えて

半泣きになりながら

俺を見る。


いわゆる上目遣い状態だ。


普通の男ならコロンと

行ってしまうだろう。



だが俺はそんな単純じゃない。


「・・・」


行かないでという顔をしているが

時間なので申し訳ないが行くしかない。


俺はうーんと少し悩んだあと


遥の頭に手を乗せ


「またな」


そう言って神社を後にした。